シーリング工事の費用相場は?失敗しないための基礎知識

建物の外壁や窓まわりにあるゴム状の目地材「シーリング(コーキング)」は、建物を雨水の侵入から守る重要な役割を担っています。
このシーリングは、紫外線や雨風によって徐々に劣化し、ひび割れや剥がれが生じます。
シーリングの劣化を放置すると、建物の内部に雨水が浸入し、構造材の腐食や雨漏り、シロアリ被害など、深刻なダメージにつながりかねません。
そのため、定期的なメンテナンスとして「シーリング工事」が必要です。
しかし、いざ業者に見積もりを依頼すると、「費用が高すぎるのでは?」「相場がわからなくて不安…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、シーリング工事の費用相場や工事内容、そして後悔しないための業者選びのポイントまで、シーリング工事に関する基礎知識を網羅的に解説します。
シーリング工事の費用相場と工事内容
シーリング工事の費用は、主に「使用するシーリング材の種類」「工事の方法」「施工箇所の長さ」によって変動します。
一般的な費用の相場は、1メートルあたり500円~1,500円が目安となります。
シーリング工事の費用相場(1メートルあたり)
・打ち替え工法:約900円~1,500円
・増し打ち工法:約500円~1,000円
この費用は、あくまで材料費と施工費の目安です。
実際の総額は、足場代や養生費、既存シーリング材の撤去費などが加算されるため、注意が必要です。
打ち替え工法と増し打ち工法
シーリング工事には、大きく分けて「打ち替え」と「増し打ち」の2つの工法があります。
・打ち替え工法
既存の劣化したシーリング材をすべて撤去し、新しいシーリング材を充填する工法です。
シーリング材の厚みが確保でき、耐久性が向上するため、推奨されることが多いです。
・増し打ち工法
既存のシーリング材の上から新しいシーリング材を重ねて充填する工法です。
既存のシーリング材がまだ比較的健全な場合に適用されますが、厚みが不足すると早期に劣化する可能性があります。
打ち替え工法は、撤去作業の手間がかかるため、増し打ち工法よりも費用が高くなりますが、長期的な視点で見ると建物の保護性能が高まります。
シーリング工事の費用を左右する要因
シーリング工事の費用は、様々な要因によって変動します。
見積もりを比較する際には、これらの要因を理解しておくことが重要です。
1.シーリング材の種類
シーリング材には、主に以下の種類があります。
それぞれ耐用年数や費用が異なります。
・ウレタン系
費用が比較的安価で、伸縮性が高いのが特徴です。
しかし、紫外線に弱く、上から塗装をしないと劣化が早まります。
・変成シリコン系
費用と性能のバランスが良く、多くの建物で使用されます。
耐久性が高く、上から塗装ができるため、外壁塗装と同時に施工されることが多いです。
・アクリル系
最も安価ですが、耐久性は低く、主に内装や亀裂の補修に使用されます。
・ポリウレタン系
耐久性が高く、ひび割れに強いのが特徴です。
上から塗装も可能です。
・高耐久・ハイクラス(オートンイクシードなど)
一般的なシーリング材よりも非常に高価ですが、耐久性が非常に高く、20年以上持つものもあります。
2.施工箇所の複雑さ
窓まわり、外壁のサイディングボードの目地、ひび割れなど、施工箇所が多岐にわたります。
凹凸が多い複雑な構造の建物は、施工の手間が増えるため、費用が高くなる傾向があります。
3.足場設置の有無
2階建て以上の建物の場合、安全に作業を行うために足場の設置が必要です。
シーリング工事のみを行う場合でも、足場代が別途発生することが多く、総費用を大きく左右します。
シーリング工事の費用を抑えるためのポイント
シーリング工事は、決して安くない費用がかかります。
しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を抑えつつ、質の高い工事を依頼することができます。
・外壁塗装と同時に行う
シーリング工事と外壁塗装を別々に行うと、その都度足場代が発生します。
足場代は総費用の約20%を占めるため、同時に行うことで大幅なコスト削減が可能です。
・複数の業者から相見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、費用やサービス内容を比較検討し、相場感を掴むことができます。
ただし、安さだけで選ぶのではなく、工事内容や信頼性も重視しましょう。
・工事内容を理解する
見積書に記載されている項目(打ち替え・増し打ち、シーリング材の種類、メートル数など)を理解し、不要な項目や不明瞭な点があれば、業者に質問しましょう。
信頼できる業者の見極め方と失敗しないシーリング工事の選び方
シーリング工事の失敗を避けるためには、信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。
以下の点をチェックして、優良な業者を見つけましょう。
・丁寧な現地調査と説明
建物の劣化状況を細かく確認し、最適な工事内容や費用について、わかりやすく説明してくれるか。
・資格や許可証の有無
シーリング防水施工技能士などの資格や、建設業の許可(防水工事業)を持っているか。
・施工実績と評判
これまでの施工実績が豊富か、ウェブサイトやSNS、口コミサイトなどで評判を確認する。
・保証内容が明確か
工事完了後の保証期間や、保証内容が書面で明確になっているか。
シーリング工事は、建物を長持ちさせるために欠かせないメンテナンスです。
この記事を参考に、適切な費用で質の高いシーリング工事を行い、大切な住まいを守りましょう。