そのひび割れ、放置は危険!外壁の亀裂の種類と正しい補修方法

秋は、家の外壁が一年の疲れを見せる季節です。
夏の強い紫外線や台風の影響を受けた外壁は、温度差や湿気の変化によって微妙に伸縮を繰り返しています。
その結果、目立たなかった「亀裂(ひび割れ)」が現れることも少なくありません。
「小さいから大丈夫」と放置すると、内部の腐食や雨漏り、さらには外壁材の剥離など、思わぬ被害を招く可能性があります。
ここでは、外壁の亀裂が起こる原因と種類、そして効果的な補修方法について詳しく解説します。
外壁の亀裂補修の前に知っておきたい「なぜひび割れが起こるのか」
外壁に亀裂ができる理由は一つではありません。
建物の構造や環境、素材の特性によって原因が異なります。
主な要因は次の通りです。
・経年劣化:塗膜の防水性能が低下し、外壁が乾燥・収縮してひびが入る。
・温度変化:昼夜の寒暖差による膨張と収縮の繰り返し。
・地震や強風:建物のわずかな揺れによる構造的ストレス。
・施工不良:下地処理や塗装工程が不十分な場合に発生。
これらが複合的に影響し、最初は細い線のような亀裂でも、放置すると深く広がっていきます。
外壁亀裂補修の第一歩は、「原因を正確に把握すること」です。
外壁の亀裂補修の基本:代表的な3つの亀裂タイプと特徴
外壁の亀裂にはいくつかの種類があり、それぞれ補修方法も異なります。
ここでは代表的な3タイプを紹介します。
1.ヘアークラック(表面の細かいひび)
外壁表面の塗膜にできる幅0.3mm以下の微細な亀裂を「ヘアークラック」と呼びます。
主に塗装の経年劣化が原因で、外観上は大きな問題に見えませんが、塗膜の防水性能が低下しているサインです。
【補修方法】
軽度であれば再塗装で対応可能です。
下地を丁寧に洗浄し、微細な亀裂を埋める下塗り材を使用することで防水性を回復させます。
2.構造クラック(深く大きなひび)
モルタル外壁などに多く見られる、幅0.3mm以上の深い亀裂です。
地盤沈下や建物の歪みが原因で起こることが多く、見た目以上に深刻な状態です。
【補修方法】
表面をパテで埋めるだけでは不十分です。
エポキシ樹脂やシーリング材を注入し、内部までしっかり補強する必要があります。
場合によっては下地補修や外壁全体の改修工事が必要になることもあります。
3.目地クラック(シーリングの劣化)
サイディング外壁の「目地(ジョイント部分)」にできる亀裂です。
シーリング材が硬化・収縮し、隙間が生じてしまうことで発生します。
放置すると雨水が侵入し、ボードの反りや浮きを引き起こします。
【補修方法】
古いシーリング材を撤去し、新しいものを打ち直す「打ち替え工法」が基本です。
耐久性の高いシリコン系・ウレタン系のシーリングを選ぶと効果的です。
外壁の亀裂補修のタイミングを見極めるチェックポイント
外壁の亀裂は、見た目だけで判断しにくい場合があります。
次のようなサインが出ていたら、早めに補修を検討しましょう。
・外壁に変色や雨染みがある
・亀裂部分に黒カビや苔が発生している
・目地のシーリングが硬くなっている、または剥がれている
・雨上がりに外壁の一部だけ濡れたままになっている
これらはすべて「外壁内部に水が入り始めているサイン」です。
軽度のうちに補修すれば費用も抑えられますが、放置すると下地の腐食や断熱材の劣化が進行し、結果的に大規模修繕が必要になります。
外壁の亀裂補修をDIYでする場合とプロに依頼する場合の違い
外壁の亀裂補修は、軽度であれば自分でも行えます。
ただし、原因を見誤ると再発のリスクが高くなるため、DIYとプロ施工の違いを理解しておきましょう。
DIY補修の特徴
ホームセンターなどで販売されている「外壁用クラック補修材」や「シーリング剤」を使用すれば、小さなヘアークラックなら自分でも修復可能です。
ただし、補修跡が目立ちやすく、塗装の色合わせが難しいため、美観を重視する場合には不向きです。
プロによる補修のメリット
専門業者は、亀裂の深さや範囲を打診検査や赤外線カメラで正確に調査し、最適な補修方法を選定します。
また、補修後に再塗装まで一貫して行うことで、防水性と耐久性を長期間維持できます。
とくに構造クラックや雨漏りを伴う場合は、迷わず専門業者に相談するのが賢明です。
外壁の亀裂を早期に補修して住まいを長持ちさせましょう
秋は気温が安定し、湿度も低いため、外壁補修や塗装に最適な季節です。
この時期に外壁を点検し、早めに補修しておくことで、冬の凍結や劣化を未然に防ぐことができます。
小さな亀裂も、早めの補修が家全体の寿命を延ばす第一歩です。
この秋、外壁の点検を習慣にして、住まいを長く美しく保ちましょう。