自宅の外壁や屋根のメンテナンスにおいて欠かせない「シーリング工事」。
特に外壁のサイディングボードの継ぎ目や窓枠周りに行われるこの工事は、建物の防水性と気密性を保つ上で非常に重要です。
しかし、工事を行う上で、近隣住民や施主様にとって気になるのが「騒音」です。
工事を検討するにあたって、シーリング工事がうるさいのではないかと不安を持つ方も少なくありません。

本稿では、シーリング工事中に発生する騒音の種類と、特にうるさいと感じるピークの時間帯を解説し、工事に対する不安を解消するための一助とします。

シーリング工事で発生するうるさい騒音の正体は？

結論から言うと、シーリング材を充填する作業自体はほとんど騒音を出しません。
カッターで古いシーリング材を撤去したり、ヘラで新しい材を均したりする作業は、大きな機械音を伴わないからです。
しかし、シーリング工事は単体で行われることは少なく、外壁や屋根の塗装工事の一環として、または大規模修繕工事の一部として行われることがほとんどです。
そのため、シーリング工事でうるさいと感じる騒音の正体は、シーリング作業の前後や付帯作業にあります。

騒音源１：足場の組立・解体時の金属音

シーリング工事は高所作業が多いため、必ず足場を組みます。
この足場の組立と解体が、工事期間中で最も大きな騒音を発生させる要因です。

【音の種類】
金属パイプ同士をハンマーで叩き、接続する際の「ガン！」「カン！」という甲高い打撃音や、パイプを運ぶ際にぶつかり合う金属音です。

【騒音レベル】
瞬間的に80デシベル（dB）を超えることもあり、非常にうるさいと感じられます。

騒音源２：高圧洗浄機の稼働音

既存のシーリング材を打ち替える前、または外壁塗装の前には、必ず高圧洗浄を行います。

【音の種類】
エンジン式の高圧洗浄機本体の「ブオーン」という機械音と、勢いよく噴射される水が外壁に当たる「シャー」という音が響きます。

【騒音レベル】
機械の近くでは70～80dB程度になることが多く、低く持続的な機械音は特にうるさいと感じやすいです。

騒音源３：古いシーリング材を撤去する音

既存のシーリング材をカッターナイフなどで切り込み、引っ張って剥がす作業は基本的に静かですが、硬化が激しい場合や目地が深い場合は、電動工具を使うことがあります。

【音の種類】
グラインダーやディスクサンダーなどの切削工具を使用した場合、「キーン」という高い切断音や研磨音が発生します。

騒音源４：その他の付帯作業

シーリング工事が外壁塗装と一緒に行われる場合、下地処理として外壁のひび割れを電動工具でカットする「Uカット」作業や、サビや塗膜を除去する「ケレン」作業でも、一時的に大きな騒音が発生します。

シーリング工事がうるさいと感じる騒音のピーク時間帯を把握する

工事期間中、特にうるさいと感じる可能性が高い時間帯は、騒音レベルの高い作業が行われるタイミングに集中します。

騒音のピーク時間帯は午前中と午後の早い時間

騒音が最も気になる作業は、基本的に近隣への配慮として、多くの業者が午前10時から午後3時頃に集中させる傾向があります。

騒音作業	ピークとなる時間帯	備考
足場の組立・解体	午前7時～午前11時頃 / 午後1時～午後5時頃	工事の初日と最終日に発生。1日で完了することが多い。
高圧洗浄	午前9時～午後3時頃	1日で完了することが多いが、水の音と機械音が持続する。
電動工具の使用	午前10時～午後4時頃	切断や研磨など、下地処理が必要な時に断続的に発生。

【注意すべき時間帯】
多くの自治体では「騒音規制法」に基づき、住宅地での特定建設作業を午前7時〜午後7時に限定しています。
そのため、作業は基本的にこの時間内で行われますが、特に早朝の午前8時〜9時は在宅している方も多いため、騒音の苦情が発生しやすい時間帯です。

うるさい騒音が続く期間の目安

シーリング工事に伴う騒音は、工事全体を通して継続するわけではありません。
特に大きな騒音は、工事の初日、高圧洗浄の日、最終日の数日間に限定されます。

1.工事の初日： 足場の組立（半日〜1日）
2.工事の2日目（または中盤）： 高圧洗浄（半日〜1日）
3.工事の最終日付近： 足場の解体（半日〜1日）

シーリング材の打ち替え作業自体（古い材の撤去と新しい材の充填）は、建物の規模によって数日を要しますが、この作業中はカッターやヘラが主な道具となるため、大きな騒音は発生しません。

日曜・祝日の作業は原則行わない

ほとんどの業者は、近隣への配慮から、日曜日や祝日といった住民が在宅している可能性の高い休日は、騒音を伴う作業を原則禁止としています。
もし休日や夜間に騒音作業を行う業者がいれば、配慮に欠けている可能性があるため注意が必要です。

シーリング工事がうるさいことへの対処と業者の配慮とは

騒音によるトラブルを避けるためには、施主様と施工業者が連携し、近隣へ最大限の配慮を行うことが重要です。

近隣への事前周知を徹底する

騒音トラブルの多くは「いつ、どれくらいの音が出るか分からない」という不安から生じます。

・施主様ができること
工事開始前には必ず、近隣住民の方々へ工事期間、作業時間、特に大きな音が出る日（足場組立・解体、高圧洗浄など）を記載した挨拶文と共に、直接ご挨拶に伺いましょう。

・業者ができること
足場に防音シートを設置し、騒音の拡散を防ぎます。
また、使用する電動工具を静音性の高い機種に変更するなどの対策も重要です。

在宅ワークや子どもの昼寝時間への配慮を求める

在宅ワークや小さなお子様の昼寝など、音に敏感になる時間帯がある場合は、事前に業者に相談することで、騒音作業のタイミングを調整してくれる可能性があります。
特に高圧洗浄や切削作業などのうるさい作業を、最も影響の少ない時間帯に集中させるよう依頼してみましょう。

シーリング工事の騒音は一時的なものであり、その期間も限定されています。
事前に音の正体とピークを把握しておくことで、シーリング工事がうるさいというストレスを最小限に抑え、快適に工事期間を乗り越えることができるでしょう。