屋根カバー工法は耐震性を低くさせて家が揺れやすくなる!理由徹底解説!

こんにちは、ヤブ原産業株式会社です。
今回は【屋根カバー工法は耐震性を低くさせる!】家を揺れやすくさせる理由についてお話していきます。
・屋根カバー工法って気になるんだけれど、デメリットってあるのかな?
・地震が多いから屋根のリフォームをして頑丈にしたいけれど、カバー工法は頑丈な屋根になるのかな?
という方に向けて、悩みを解決できる記事になっています。

なぜなら【弊社ヤブ原産業株式会社は、建築仕上材・改修材メーカーとして50年超の実績があり、建物を長持ちさせる改修工事のプロだから】です。
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屋根のリフォーム方法として人気のある「屋根カバー工法(重ね葺き工法)」。
「古い屋根を撤去しないから工期が短く、廃材も少ない」という理由で選ばれることが多いですが、実は大地震対策としては不向きな工法であることをご存知でしょうか。
特に地震が多い日本では、屋根の重量や重心バランスが耐震性に直結します。
カバー工法は施工後に屋根重量が増し、揺れやすい家になってしまう可能性が高いのです。
この記事では、屋根カバー工法の構造と施工手順、耐震性を低下させる理由、施工後のデメリット、そして大地震に備えるための最適な屋根リフォーム方法までを、専門家の視点で詳しく解説します。
屋根カバー工法とは?【基本構造と施工方法】
屋根カバー工法(重ね葺き工法)の概要
屋根カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せず、その上に防水シートと新しい屋根材を施工する方法です。
「重ね葺き工法」とも呼ばれ、近年の住宅リフォーム業界では省廃材・短工期・比較的低コストという理由から採用例が増えています。
施工対象になるのは、主にスレート屋根や金属屋根です。
瓦屋根の場合は重量があり、上から重ねることがほとんどできません。
一般的な施工手順
屋根カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せず、その上に防水シートと新しい屋根材を施工する方法です。
「重ね葺き工法」とも呼ばれ、近年の住宅リフォーム業界では省廃材・短工期・比較的低コストという理由から採用例が増えています。
1.現状調査
屋根材の劣化状況、雨漏りの有無、下地の状態を確認します。
2.清掃・下地準備
表面の汚れや藻、苔を落とし、防水シート(ルーフィング)を張る準備をします。
3.防水シート施工
既存屋根の上からルーフィングを敷設し、防水層を確保します。
4.新規屋根材の施工
ガルバリウム鋼板やアルミ屋根など、軽量金属系の屋根材を重ね葺きします。
5.棟板金・役物施工
棟や端部の仕上げ部材を取り付け、防水性と耐風性を確保します。
採用される屋根材(屋根カバー工法で使われる代表的な素材と特徴)
屋根カバー工法では、既存屋根の上に新しい屋根材をかぶせます。
そのため、軽量性・防水性・施工性が特に重要視されます。
ここでは、現場でよく採用される屋根材を大きく4種類に分け、詳しく見ていきます。
1.ガルバリウム鋼板(GL鋼板)
【特徴】
・アルミ55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%で構成された合金メッキ鋼板。
・軽量で耐久性が高く、カバー工法で最も多く採用される金属屋根材。
・非常に軽く、屋根の重量増を最小限に抑えられるため耐震性への影響が小さい。
・6,000〜9,000円/㎡(材料+施工費)
【メリット】
・軽量で耐震有利
・錆びに強い
・デザインが豊富
【デメリット】
・雨音が響きやすい
・傷がつくと錆びやすくなる
・熱伝導が高く夏場に暑くなりやすい
2.アルミ屋根材
【特徴】
・ガルバリウムよりさらに軽い純アルミやアルミ合金製の屋根材。
・カバー工法で使える屋根材の中では最軽量クラス。
・地震時の建物揺れへの影響がほとんどない。
・錆びないが、表面の塗装は経年で劣化するため再塗装が必要な場合あり。
・10,000〜13,000円/㎡
【メリット】
・超軽量
・錆びない
・メンテナンス頻度が少ない
【デメリット】
・高価
・衝撃で凹みやすい
・国内で施工経験が少ないため施工業者が限られる
3.スレート系屋根材(カラーベスト・コロニアル)
【特徴】
・セメントと繊維質を主成分とした薄い板状屋根材。
・既存屋根がスレートの場合、その上にさらにスレートを重ねるケースもある。
・金属屋根に比べかなり重く、耐震面では不利。
・特に既存スレートの上に重ねると重量増が大きく、耐震性低下の可能性が高い。
・5,000〜8,000円/㎡
【メリット】
・安価
・デザインが豊富
・施工しやすい
【デメリット】
・重量があるため耐震性に悪影響
・経年で塗膜が剥がれやすい
・吸水による凍害のリスク
4.金属+断熱材一体型パネル
【特徴】
・ガルバリウム鋼板と断熱材(ポリウレタンフォームなど)を一体成型した高機能屋根材。
・軽量でありつつ断熱性が高いので、重量増の影響を抑えられる。
・断熱材の劣化はほぼなく、耐用年数は30年以上。
・8,000〜12,000円/㎡
【メリット】
・軽量+高断熱
・室内の暑さ・寒さ対策に有効
・防音性も向上
【デメリット】
・高価
・大きな衝撃で凹む可能性
屋根材の比較表(重量・耐震性の目安)
屋根材 | 重量(kg/㎡) | 耐震性影響 | 耐用年数 | 費用目安(円/㎡) |
ガルバリウム鋼板 | 4〜5 | ◎(軽い) | 25〜30年 | 6,000〜9,000 |
アルミ屋根材 | 2〜3 | ◎(非常に軽い) | 30年以上 | 10,000〜13,000 |
スレート系 | 16〜20 | ×(重い) | 15〜25年 | 5,000〜8,000 |
金属+断熱材一体型パネル | 5〜7 | ○(軽い) | 30年以上 | 8,000〜12,000 |
なぜ屋根カバー工法は耐震性を低下させるのか
重量増加による揺れの増幅
建物の揺れは質量と関係しています。
屋根の重量が増すと、地震時の慣性力も増え、揺れ幅が大きくなります。
例えば、既存のスレート屋根(約20kg/㎡)の上にガルバリウム鋼板(約5kg/㎡)をカバーすると、100㎡の屋根で約500kgの重量増です。
500kgといえば、大型バイク2〜3台分の重さが常に家の最上部に載っている状態です。
高重心化のリスク
耐震設計の基本原則は「重心を低く保つこと」。
屋根が重くなると建物の重心が上がり、揺れやすく倒れやすい構造になります。
特に木造2階建て住宅では、屋根重量が増えるだけで耐震等級が下がることがあります。
応答加速度の増加
耐震シミュレーションでは、屋根重量を10%増やすだけで建物の応答加速度(揺れの強さ)が5〜10%増加することが確認されています。
これは柱・梁・接合金物にかかる負担を増やし、地震時の損傷リスクを高めます。
屋根カバー工法の4つの大きなデメリット
屋根カバー工法は「解体工事が不要」「工期が短い」といったメリットがありますが、建物の条件や目的によっては、見逃せないデメリットも存在します。
ここでは、代表的な4つを詳しく見ていきます。
1.屋根の重量が増え、耐震性が低下する
・原因
カバー工法は既存屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材を重ねます。
つまり、建物にかかる屋根重量が必ず増加します。
・耐震性への影響
建物の重心が高くなるため、地震時の揺れ幅が大きくなります。
特に築年数が古い木造住宅(1981年以前の旧耐震基準)では、重量増が倒壊リスクに直結します。
2.下地(野地板や垂木)の劣化が放置されやすい
・原因
カバー工法では既存屋根を剥がさないため、下地の全体状態を直接確認できません。
表面がきれいでも、内部の野地板や垂木が腐っているケースがあります。
・耐震性との関係
下地や垂木は屋根材の固定力を支える骨格部分。
ここが弱っていると、地震や強風で屋根ごと外れる危険が高まります。
3.施工できない屋根がある
・対象外となる代表例
・瓦屋根(重量増が大きすぎる)
・屋根勾配が極端に緩い(雨水が流れにくく、雨漏りリスクが高い)
・下地の強度不足(築40年以上で補強歴なし)
・既存屋根にアスベストが含まれ、状態が悪化している場合(施工時に飛散リスク)
・耐震性との関係
施工できない条件で無理にカバー工法をすると、重量増・固定不足の両面から地震時の屋根脱落リスクが急増します。
4.屋根の通気性・断熱性が変化し、結露や熱ごもりが起きる可能性
・原因
既存屋根と新しい屋根材の間に空気層ができることで、通気・放熱が妨げられる場合があります。
・よくある現象
冬場:室内暖気が屋根裏で結露し、下地が腐る
夏場:熱がこもり、2階の室温が上がる
・耐震性との関係
一見関係なさそうですが、結露や湿気で下地が腐ると、屋根の固定強度が低下し、地震時の安全性に影響します。
屋根カバー工法が向かない住宅の条件
屋根カバー工法は、条件が合えば効率的でコスト面でも有利な方法ですが、建物によっては逆に寿命を縮めたり、耐震性や安全性を大きく損なう危険があります。
ここでは、特に注意すべき住宅条件を細かく分類して解説します。
1.築年数が古く、耐震基準が旧規格の住宅
【該当例】
1981年(昭和56年)以前に建築された木造住宅
【理由】
旧耐震基準は「震度5程度までの地震」を想定して設計されており、現行基準(震度6強〜7)には対応していません。
こうした住宅に屋根重量を上乗せすると、耐震性がさらに低下します。
2.既存屋根が重い瓦屋根
【該当例】
和瓦、セメント瓦、重量スレート
【理由】
瓦は㎡あたり約50〜60kgと非常に重く、これにカバー材を追加すると80kg/㎡を超える場合があります。
軽量化とは真逆の方向に進むため、耐震性は著しく低下します。
3.下地(野地板・垂木)が劣化している住宅
【該当例】
・雨漏り履歴がある
・屋根裏点検でカビや腐朽菌が確認された
【理由】
・カバー工法では下地を全面的に剥がして確認できないため、劣化を見逃したまま施工しやすい。
・重量増が加わることで、弱った下地がさらに負担を受ける。
4.屋根勾配が緩すぎる住宅
【該当例】
3寸勾配未満(約16.7度以下)の屋根
【理由】
・勾配が緩いと雨水が流れにくく、重ね葺きすると水切れがさらに悪化。
・防水シートを敷いても毛細管現象で雨水が侵入するリスクがある。
5.既存屋根にアスベストが含まれている場合
【該当例】
1990年代初期までに製造されたスレート屋根材(特に「石綿スレート」)
【理由】
・表面劣化が進んだアスベスト屋根は施工中に粉じんが飛散する危険が高い。
・法規制により、撤去や封じ込め方法が限定される。
6.雪国や台風常襲地域の住宅
【該当例】
・冬季に積雪荷重が大きい地域
・沖縄・九州南部などの台風多発地域
【理由】
・屋根重量増+自然荷重(雪・風)で構造負担が大きくなる。
・強風時には屋根材が一体で剥がれる可能性もある。
大地震に備える正しい屋根リフォームとカバー工法の正しい位置づけ
大地震に備える屋根リフォームとして最も効果が大きいのは、重い屋根(瓦・劣化スレート等)を撤去し、ガルバリウム鋼板・アルミ・断熱一体型金属パネルなどの軽量材に葺き替えることです。
・瓦 → 金属:1/8〜1/10程度の重量になるケースも
・劣化スレート → 金属:1/3〜1/4程度に軽量化
軽量化により重心が下がり、揺れの大きさ・継続時間が有意に低減。
結果として、構造材・仕上げ材の損傷リスクが下がります。
屋根カバー工法の費用の目安
屋根リフォームを検討する際、費用や工期は施工方法の選定に大きく影響します。
カバー工法は、既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねる施工方法であり、葺き替え工法と比べて工期が短く、廃材処理費用も抑えられるのが特徴です。
しかし、費用の目安や工期は、屋根の形状や面積、使用する屋根材の種類によって変動します。
一般的にカバー工法の費用は、屋根の面積1㎡あたり1.2万~2万円前後が相場とされています。
たとえば、延べ面積100㎡の屋根の場合、120万円~200万円程度が目安となります。
ただし、既存屋根の状態や勾配の高さ、複雑な形状(寄棟屋根や多段屋根など)がある場合には、作業の難易度が上がるため、費用はさらに高くなる傾向があります。
また、使用する屋根材によっても差が出ます。
金属系の軽量屋根材は比較的低価格で施工可能ですが、断熱性やデザイン性を高めた屋根材を選ぶ場合、1㎡あたり2万円以上になるケースもあります。
さらに、防水シートや下地補強材、雨樋や雪止めなどの付帯工事費も加算されるため、トータルでの費用は事前に見積もりを確認することが重要です。
屋根カバー工法のおおよその工期
カバー工法は既存の屋根を撤去せずに新しい屋根材を重ねるため、葺き替えに比べて作業時間が短縮されます。
一般的な住宅であれば、1週間~10日程度で完了するのが目安です。
屋根の形状が単純な場合や、天候に恵まれた場合はさらに短く、5日程度で施工できることもあります。
ただし、屋根面積が大きい場合や勾配が急な場合、下地補修が必要な場合は、工期が2週間以上かかることもあるため注意が必要です。
加えて、台風や大雨などの天候によって工期が延びる可能性もありますので、施工前に余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
また、費用と工期のバランスを考える際には、耐震性や屋根材の寿命も考慮する必要があります。
カバー工法は短期間で施工できる利点がありますが、前述の通り屋根が重くなることで耐震性が低下する可能性があります。
そのため、大地震に備える場合は、費用や工期だけでなく、屋根材の軽量化や下地補強の検討も必要です。
特に、金属系の軽量屋根材を採用することで、カバー工法でも耐震性をある程度確保できますが、既存屋根の状態次第では葺き替えを検討した方が安全です。
屋根カバー工法のよくある質問
Q1.屋根カバー工法とは何ですか?
A1.屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せず、その上に新しい屋根材を重ねて施工する工法です。
従来の葺き替えより工期が短く、廃材処理費用も少なく済みます。
ただし、屋根が二重になることで重量が増し、耐震性に影響する場合があります。
Q2.カバー工法と葺き替えの違いは何ですか?
A2.葺き替えは古い屋根を完全に撤去してから新しい屋根を設置します。
一方、カバー工法は既存屋根を残したまま上から新しい屋根を被せるため、工期やコストを抑えられますが、耐震性や部分補修のしやすさには違いがあります。
Q3.カバー工法に使える屋根材は何ですか?
A3.主に軽量の金属屋根材が使われます。
ガルバリウム鋼板やアルミ、トタンなどが代表的です。
陶器瓦や重いスレート瓦などは既存屋根への負担が大きいため、カバー工法には不向きです。
Q4.既存の屋根に雨漏りや腐食があってもカバー工法はできますか?
A4.施工は可能ですが、既存屋根の不具合はそのまま残るため、将来的に耐久性や耐震性に影響することがあります。
下地の補修や劣化箇所の改善を行ったうえで施工することが推奨されます。
Q5.屋根カバー工法の費用の目安はいくらですか?
A5.屋根の面積や選ぶ屋根材によりますが、一般的には100万円~250万円前後が目安です。
既存屋根の撤去費用がかからない分、葺き替えより低コストで済むことが多いです。
Q6.屋根カバー工法の工期はどのくらいですか?
A6.規模にもよりますが、一般的な住宅で3日~7日程度が目安です。
既存屋根を撤去する必要がないため、葺き替えより工期を短縮できます。
Q7.カバー工法で火災保険は使えますか?
A7.原則として使えません。
火災保険は「損傷を元に戻す工事」が条件ですが、カバー工法は新しい層を追加する工事となるため、保険の対象にはなりません。
Q8.古い屋根の上から重ねると耐震性はどうなりますか?
A8.屋根が二重になり重量が増すため、建物の揺れやすさがわずかに増します。
大地震対策を重視する場合は、軽量な屋根材への葺き替えがより安全です。
Q9.カバー工法のメリットとデメリットは何ですか?
A9.
【メリット】
・工期が短い
・廃材処理費用が少ない
・比較的低コスト
【デメリット】
・屋根が重くなり耐震性が低下する場合がある
・既存屋根の不具合が残る
・部分補修が難しい場合がある
・金属屋根に限定される
・火災保険が適用されない
大地震対策のリフォームには屋根カバー工法は適していない
大地震のニュースをテレビで観ると、地震に備えたリフォームが必要と思い色々検討されている方もいるでしょう。
しかし、屋根のリフォームの場合は、カバー工法は適していません。
地震の際に揺れの度合いを大きくさせてしまうので、大きな被害へと発展させてしまう場合もあります。
そのため、絶対に行わないようにし、屋根が破損している場合は葺き替えを検討しましょう。
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